ざ☆Re:ある★Folk Blues

はてダからお引越ししました。相も変らずダラダラホビーな話を中心に書き込んでいます

The Old Barber(胡同の理髪師/剃頭匠)

ガッコの授業の一環で「胡同の理髪師」という中国映画を見たのであった。

胡同の理髪師 [DVD]

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理事長の前置きを聞いて最初中国映画だぁ??とか思ってたんだがストーリーがなかなかおもろく、ガッツリ居眠りもせず(ヲイ)見てしまった。

シナ人にしてはやるやないかと思ったら監督は内モンゴルの人でドキュメンタリーとかを撮ってる人だとか。それならある種ひねた視点での話だったのでわかる気がする。

と、言う訳で以下ネタバレおよびレビュー。


あらすじはキネマ旬報のレビューから引用。

STORY
◇中国・北京の旧城内を中心にある胡同(フートン)。その細い路地には、伝統的な建築様式で作られた庶民の古い家屋が立ち並ぶ。主人公・チンさんはそんな街並みに暮らす。彼は、朝6時に起き、毎日5分遅れる古いゼンマイ時計を直し、銀髪に櫛をいれ、身だしなみを整える事から始まる。三輪自転車で顧客の家を訪問し散髪したり、マージャンを楽しみながら世間話をし、決まって夜9時には床に就く。こつこつと働き続けて81年。その静かな存在感が私たちの胸を打つ・・・「豊かに生きること」の意味を私たちに問いかける。

↑な、感じ。興味の沸いた方はとりあえず見てよって事なんだが、前からオレが言ってるとおり今の資本主義追求に人道を踏み外し、謝罪と賠償を要求したりひいては漁船(衝角改造、船員は共産党員)で海上保安庁の監視船にアタックしてきて尖閣諸島返せアルとか群れながら言うしか能のないDQN国家とそこに巣食う三国人ゴキブリ並に殲滅してやりゃいいとか思ってるんだが、

旧き良き、義に尽くし、他人に優しくをモットーに自分のスタイルを変えずに生きている中国人は尊敬に値する。

特に実際の理髪師でもあるチンおじいちゃんにはダンディズムとハードボイルドさを感じずにはおれなかった。特に堂々とかつ淡々と一所懸命に生きるチンおじいちゃんの姿はシンプルで実に味わい深い。

ネタバレも少し含むんだが、この映画では今の中国の実情を下町からの視線で捉えながらも、「寿命」「至上のライフスタイル」とは何かを考えさせられるメッセージの中に日常の風景やドラマとペーソス感、富裕層ってそんなにエエのん??とか老人の余命が残されていない事への葛藤とか苦悩をあさましく思考が変わってしまった今のシナ人へのある種のイヤミも含めつつうまく描き出している。

北京オリンピック前で市内の美観を損ねる(フィルムの中では胡同はすごくゆったりと時間が流れてて、風景もものっそい味があるんだがこれもオリンピックで体裁だけを取り繕おうとした今の中国政府へのイヤミなのかもしれない)、との理由で立ち退きが決まっている胡同をチンおじいちゃんは献身的に、そして義を尽くしながら毎日低賃金で寝たきりなどの老人を散髪するんだが、寝たきりになっているミーおじいちゃんが孤独死したのを自ら発見したり(ミーおじいちゃんちで飼われている黒猫を不憫に思い荷台に乗せて連れて帰る姿なぞすんげー味がある!)、成金になって息子夫婦に無理やり引き取られた(チンおじいちゃんを汚物扱いする息子嫁がこれまためっさ腹立つんだこれが。息子は嫁のケツに敷かれてるのか反論もするがヨワヨワだし)チャオおじいちゃんが死んだことを知り、自分の死期を意識しだし、自分の死後何が残せるのか、自分の息子、孫、ひ孫に何がしてやれるのかを暗中模索、紆余曲折し始める姿が悲壮感とコミカル満点でかわいくてたまらんのだがw

ラストではふと自転車を漕いでて一休みしてる時に意識が朦朧としかけてこりゃいかん、と思ったのか、死装束と葬式(遺影用に散髪してもらってから写真を撮ったり、遺言を録音しだしたり)の準備をして就寝しやがって(!)ひ孫が生まれた事を知らせるためにたずねてきた息子の度肝を抜かせたりするとこなぞ見てるこっちをハラハラさせるところがなんとも憎いw

人間いつか死ぬ(劇中でもジャン卓を抱えながら老人達がしみじみとそんな愚痴をこぼしているシーンがあったが生々しくて物寂しい。同世代でなくてもお年の召された方が見られればなんかげんなりするのではなかろうか)とは言いつつも老人の方が棺桶に片足突っ込んでる率も高いわけで、途中で出てきた食堂の跡を継ぎたくなく絵描きになりたいと言ってる孫が本当に先人である老人を大切にしたり、敬う姿は今の中国人が忘れているまさに「義のある生き方」ではないか。そんな昔ながらの贅沢もせず、頑なに旧スタイルを貫く老人たちこそ、やはり今の中国の腐敗具合を比較し改めて思い知らされる。また失われようとしている文化や街並みに対しての願いや懐古の思い、ちびっと会話シーンとかはそんなになくても充分メッセージは伝わるのにな、とくどく感じはしたものの、結果オーライ。

自分の人生を考えて悲観しそうな時、ふと何気なしに振り返ったときのバイブルとして、気持ちよく見れた良い映画であったように思う。

理事長、いい映画ありがとうございましたm(_ _)m