Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager
邦題では「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル著
- 作者: ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2002/11/06
- メディア: 単行本
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ハカ友の七罪ちゃんから誕生日プレのお返しにいただいたので早速読んでみた。
大判ながらも文庫版で字数が少なかったのもありあっと言う間に(約二時間半)読み終えてしまった。
月並みなレビューになるかもだが、これはナチスの強制収容所に収容されたユダヤ人精神科医である著者が強制収容所内での体験記を元に記した、極限状態での人間観察記である。
最初読み始めて、悲惨でなんてエグいのかと思ったが読み進めるうちにただの体験記ではなく、極限状態でヒトであることへの行動と本能が解明されていく事に面白みを感じ後半はペースを上げて読み終え、読後には至福と励ましを感じる事が出来た。
人間的な感情が日々削がれていく最低な環境の中でも人間はその奥にある愛する人の事、強制労働の垣間にふと見た美しい風景や、極寒の中にある生命に満ちた自然のなかで「今生きている」と言う感覚が沸き起こってくるのだ。
日々平々凡々と生きている我々に於いてはこう言った体験記を追従する事により自らの生き様を反映させ、何とくだらない事で一喜一憂しているのかと反省の念に駆られるのだが、反面それは多大な励ましにもなるのだ。
人間の本質であるココロの自由までは誰にも奪える事が出来ない、と考えただけで、それだけで何か浄化された気がするではないか。
「わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ」
「わたしが恐れるのはただひとつ、わたしがわたしの苦悩に値しない人間になることだ。〜ドストエフスキー〜」
薄い本ではあるが、収容所生活の悲惨さだけを記し、伝えようとするのではなく、悲惨な極限状態での人の内面的な強さを優しさとシンプルな文章で感動を与えてくれた筆者には敬意を表したい。
日常に詰まった時、何かの壁にぶち当った時、自分を卑下してしまうメンタルの弱い我々に於いて(ただ、そこからいつか脱却しようと思って日々懸命に頑張っている人には特にオススメだ)はバイブルになる事必至だ。
七罪ちゃん、いい本を有難うm(_ _)m