ざ☆Re:ある★Folk Blues

はてダからお引越ししました。相も変らずダラダラホビーな話を中心に書き込んでいます

I Live in Pref.Hyogo

リリースされてから少したったものの、今日はオイラのフェイヴァリットなコミックスをご紹介しよう。


神戸在住(7) (アフタヌーンKC)


前からも言及してきたが、木村紺著「神戸在住」の七巻である。


なかなか店頭では見かけなかったのでオレの分と彼女の分の二冊をAmazon.co.jpで頼んでしまったのであるが。

ネット注文はこんなとき楽だな。

さて、彼女への入院見舞いも兼ねてこの本を送りつけたワケであるが、主人公である神戸の大学に通う辰木桂の周りに起こった様々な出来事をエッセイ風味でほんわかと叙情的につづられるアフタヌーン連載の漫画である。


特に関西でも情緒が漂う神戸という街に異邦人として東京からやってきた主人公の独自の視点は我々関西在住のものとしては、美化されすぎのてらいはあるものの、遊びよく親しんだ神戸と言う地を紹介、全国紙に発信されると、少しこそばゆいものの逆に誇らしくも思えたりするから不思議だ。


彼女の周りに登場する人物もそれぞれ個性があり、また特色のある関西訛りをそのまま伝えているところにも好感がもてる。そこを伝えている著者(=主人公)が感じた関東人と関西人の差を的確についているところもしかり。


また、著者が描く作品はおそらく実話に限りなく基づいた創作*1であろうというのは推測できるがそのリアリティと、「どこまでホント??」と思わせる作りこみ方にも関西在住としてはやられてしまう。


ある種アフタヌーンの中の良心と言っても過言ではあるまいて。


で、いつも思う事なのだが主人公の辰木桂とうちの姫のイメージがダブってオレには見えてしまい、仕方がなかったりする。


人一倍繊細かつ可憐なところ、寡黙で感情を表に出すのが苦手なそこがまたキュートなところ、美術や好きなものに対する考え方の類似(特に猫に対する愛情の傾け方…)、頑なにスカートを穿かないところ(核爆) 、行動パターンetc…

何から何までとは言わないものの、こーして結構似ているところが多い(笑)


オレの野望としては辰木さんのように、神戸の地に彼女を降り立たせてどんな反応をするか見てみたいと言うのがある。これは叶うかどーかは判らないが、それに向かって邁進していきたいものだ。


さて、今回の七巻の話をしよう。

今回の根底に流れているものは、ずばり「別離と旅立ち」であろう。

今までの六巻分では辰木さんが周りの出来ごとで感じた出来事を一人称で語り、間接的に伝えてきたのが多かった。

が、今回は自分に起こった事、自分の感情を赤裸々につづっているのが印象的だ。

冒頭の学園祭の話からも、やっと主人公らしく卒業制作に来期は関らねばならないと言う一種のプレッシャーに似た感情。


そして、彼女が絵を描こうと言うきっかけを作った一人のイラストレーター/雑貨屋店主、日和洋次氏との死別に関する出来事。

健常者と障害者への格差を埋めようと健気に近づこうとする思い。
日和の描く作品だけでなく、もっと日和に近づこうと想うが、上手く行かない事への葛藤。

そして、この世にいないものととり残されたものの(日和氏だけでなく、彼女の周りで大事に思えてきた人物、つまり祖母までの思いが凝縮、回想されている)意思を通じ合おうとし、思い込み砕け散り体調を崩してしまう辰木。

それは第64話の友田女史の傍で声を上げ号泣してしまうところに、辰木の「自分自身の心の葛藤」と言う悲鳴を上手く盛り込み、そのページを見直すとこちらまで目頭が熱くなりそうになる。


そしてその話以降、辰木は自分自身に力をつけより強く大人に一歩近づく事となる。

かく言うオレも、似たような経験があるのでそこでシンパシーとあの日の負の記憶がフラッシュバックするのかもしんないが…


65話ではフランスに留学すると言う親友、泉海洋子を力強く送っているシーンにも如実に表れているではないか。


全体的にテーマが重い*2今巻ではあるが、上記でも少し触れたように、フイクションを取り混ぜつつも、辰木桂という女性が成長していく姿を我々読み手が純に「頑張っていって欲しい」「素敵な感性をもつ女性であってほしい」「その気持ちを大事にいつまでも保って行って欲しい」と言う気持ちにさせる作品として大事にしていきたい、これからもずっと読み続けたい作品である。

うーん、辰木さんを女性として意識しすぎだなワシ…(;^_^)A


そして、関西、兵庫県在住なオイラが言うのもなんですが、もし良かったら一読いただきたい作品です。

*1:主人公らが通う大学は実は女子大(それも短期)であり「共学」ではない。そこの場所を知っているなら、地元民なら推測は出来る。ただ、キャンパス自体は別に存在する可能性はあるが…また登場人物に著者がインスパイアされた著名人をモチーフにした人が登場したりする点でフィクションであろうと言う結論に達した。

*2:それとは裏腹に今回もカバー裏のオマケは謎ギャグのラッシュ…照れ隠しもあるかもしれないが「うもれろ青春」でちとフイタ…