ざ☆Re:ある★Folk Blues

はてダからお引越ししました。相も変らずダラダラホビーな話を中心に書き込んでいます

[ヒトリゴト、叫び]

脳味噌の奥まで痺れそうなくらいの寒風が吹く中、男達は宝塚市某所の高台にある墓地にいた。

今年も又この日がやって来ようとしている。

今年は17日が平日なので、少し早めの墓参りになる。リーマン勤めな時代なら17日に無理矢理でも有給を取って独りで来たのかもしれないが、今年は自分の場合は二月頭に国試も控えていてあたふたしているので、仲間内で連絡を取り合い、連れ添って来る事が出来た。去年とは違って人数も増えたからヤツも喜んでいるのかも知れないな。

明日でなくて良かった、のかもしれない。日曜は今日よりも冷え込むらしいので厳しかろうと思うのだ。

高台の墓地の西側には西宮の地崩れがあった現場がかすかながら見える。今眠っている男が被害にあった場所だ。

先に神上がった友の墓前で願うのは残された我々を導いて欲しいと言う想い。

ただそれの裏面にあるのは一種の贖罪感なのかも知れない。

数種の不運(自然災害という予期せぬものも含む)が重なり、20代前半で命を落とすことになった、ある意味仲間内でドベくじを引かせてしまったような、そんなすまないと言う気持ち。

生き残ってしまった、この場にいる四人が口には出せないが近い事を感じているのではなかろうかとふと思ったんだが。

それでどうか我々を護ってくれとは何とも都合よく甘くないか。

今更何故あんな災害が起こってしまったのか、

多くの犠牲を産んでしまったのか、

或いは愛するものや友人、家族などを失い残されたもの達の心に深い傷を負う事になってしまったのか、

次にまた同じような地震被害が起こったらまた生き延びれるか、

…えとせとらえとせとら。

そんな言葉や怒り、葛藤、恐怖などが脳の中をぐるぐる駆け巡る。

でも生活の時間に追われる哀れなピルグリム達は無理やり脳の隅っこに追いやって自分の明日の為にまた一歩踏み出す。

以前にようこママに「一生懸命頑張るっていうのは、たったひとついただいた一生けて頑なに意地を張って生きることなんだよ。って。それで、そんなに頑なにならなくても、もっとゆっくり歩けばいい」って言われたのを駐車場まで歩きながら思い出しもした。

…もうオレの傍にいない、当時この世で一番大事だった女性(ひと)の面影や記憶を脳裏から引きずり出す。

下手したら高校受験を考えてる時期な子供がもしかしたらその予定嫁っ子の間に出来てても今ならおかしくない年齢を重ねている、どっから見ても怪しいオッサンが友人の車のガラスに映っている。

16年という月日はやはり長い。ただあの日を思い出すと言う事から考えるとまだ16年かとものすごく短い気がする。

…どーしよーもねーなオレと苦笑すらもはや出てこねぇ。

でもハードボイルドに、周りから見たらスラップスティックに一歩踏み出すしかない。

いつまで経っても基本泣き虫弱虫なまんまじゃないか。アホかオレ。

友人の車から降りて最寄駅に向かいながらプレイヤーを取り出す。この日の前後くらいからずっとプレイリストに入れて聴いているNICO Touches the Wallsの“Diver"が流れる。

なんかNARUTOの新OPタイアップらしいがオッチャンには関係ないのであった。昔からこの子らの出すほんの数曲の中に琴線に触れてグッとくるのがあるので追いかけるのがやめられないでいるのだ。

今回のこの新曲にも胸を裂かれるような歌詞と情景の世界に引き込まれてしまっている。

悲しみなんて 吐きだして 前だけ見てればいいんだっけ
それじゃとても まともでいられない
すべてを僕が敵に回しても 光をかすかに 感じてるんだ
そこまで 行けそうなら

息をしたくて ここは苦しくて
闇を見上げるだけの夜は もがく減圧症のDiver
生きているんだって 確かめたくて
深い海底を目指してもう一度呼吸をしよう

頭の中の地図を ひっくり返したら
足りないものだらけで 一人怯えた昨夜(ゆうべ)
僕は強いんだって ずっと思っていた
誰よりも強いってずっと思っていた

重たい錨を 背負い込んでほんの少し祈りを吐き出して
まるで合図のように 振りだした雨

息をしたくて ここは苦しくて
闇を見上げるだけの僕じゃ浮かぶ 方法もないDiver

NICO Touches the Walls/“Diver"

聴きながらどうしようもないほどに溢れる苛立ちや悲しみや苦悩や過去の思い出に独り車窓からみえる景色に目頭が熱くなりそうだった。今の自分とガッチリはまってそうなグッとくる曲だ。

聴きながら、悲しみの想いに突き動かされながら、先に逝った予定嫁っ子の弟くんにメールをしてみる。「16年経とうとしてるのに相変わらず打たれ弱いよ」と書いたら「そんな不器用なまんまな兄さんは誇りです、ある種すべらんなーby松本人志」と返事が即座に来た。

このドアホw!!ちくしょう涙腺に来たじゃないかw

毎年記述してる気がきっとするが、残されたもの、次の時代を継ぐものには17日は乗り越えなければいけない日であろう。もちろん風化させてはいけないのも判っている。

ただこの日だけは、犠牲になられた方を偲んでどうかヨワヨワなオレでいさせてくれ。

今年は川嶋あいVer.のを貼ってみた。阪神大震災で犠牲になられた方々の御霊に追悼を、また御霊が我々を見守り、そして強く生きていける導きを与えてくださりますように。